2019年8月30日金曜日

全国赤十字救護班研修

救命診療部の原です。

8月24日から26日まで、日赤大阪府支部で全国赤十字救護班研修が行われました。
当科からは受講生として布村先生が、指導スタッフとして原が参加してきました。
これまでは東京の日赤本社や神戸の兵庫県支部で行われることが多かったのですが、今回初めて大阪での開催となりました。
大阪府支部は大阪城のすぐとなりに立地しており、部屋の窓からも大阪城の全景が大きく見えるほどの距離にあります。

全国赤十字救護班研修は、日赤の最大の使命である災害救護に関する知識や技術を身につけるための研修で、医師・看護師・主事(事務や薬剤師、放射線技師など)の三職種が参加するもので、1年に3~4回開催されています。
以前は「日赤DMAT研修」と呼ばれていた時期もありましたが、ここ数年で救護班研修という名前に変わりました。

研修の内容は、「トリアージ」「トランシーバーや衛星電話」「EMIS」「現場救護所での診療」「病院支援や避難所巡回」などです。
災害研修なのでDMAT研修と似ている内容も多いですが、赤十字の概念だけでなくその組織力や資源力、ネームバリューなど、日赤職員としての考え方や行動規範なども学びます。
私も数年前に受講生として研修を受けたときには、日赤の職員であることを誇りに思い、災害救護に携わる使命感のようなものを自覚した記憶があります。
災害医療を学ぶことは、日々の忙しいERや慌ただしいICUをマネージメントすることにも大変役立ちます。救急車が何台も重なったり、同時に何人もの重症患者さんを治療するときは、私たちは知らず知らずトリアージをして優先順位を決めていますよね。

当院救命診療部も、「ERでの救命救急」「ICUでの集中治療」「手術室での麻酔管理」「災害医療」の4つを大きな柱として日々活動しています。
医師として総合能力を身につけたい方は、ぜひ私たちとともに働いてみませんか?
当科では救急科専門医だけでなく、集中治療専門医、麻酔科専門医の取得が可能ですし、外科専門医や総合内科専門医、外傷専門医、呼吸療法専門医なども取得しています。
和やかな雰囲気の中にもみなそれぞれしっかりした志を持って勤務しています。
スタッフみんなでお待ちしています!

班の意見を発表する布村医師

ディスカッション中の布村医師(中央メガネ)

救命救急センターICUの前田係長も参加(中央)

医療事業広報課の新鋭・松岡君も頑張っていました(中央)


2019年8月10日土曜日

第41回日本呼吸療法医学会学術集会

救命診療部の原です。
毎日暑いですね。
当院にも連日熱中症の患者さんが搬送されてきています。
8月9日からは名物のよさこい祭りが始まり、県内外から大勢の観光客が高知市内に集結しています。
大いに楽しんでもらいたいですが、こまめな水分補給など体調管理には十分注意していただきたいです。

さて8月3日、4日と大阪国際会議場で開催された、第41回日本呼吸療法医学会に参加してきましたので報告します。
当学会は、日本集中治療医学会の呼吸部門という位置づけになりますが、ICUでの呼吸管理は重症呼吸不全患者の予後に直結するため非常に重要です。
当院ICUでも人工呼吸管理には非常に力をいれており、最新の人工呼吸器を導入して管理にあたっています。
学会には当救命診療部から廣田、山本、原の3人で参加してきました。
山下部長、廣田副部長、私の3人は呼吸療法医学会専門医の資格を有しており、山下部長は当学会の評議員もつとめられています。

今年の学会での大きなテーマは、①VV-ECMO(体外循環による人工肺)、②ΔP(プラトー圧-PEEP)、③自発呼吸温存と筋弛緩薬の使用 の3つだったと思います。
いずれのテーマも当院での呼吸管理で議論となっているところです。
私は「BMI40以上の高度肥満患者における人工呼吸管理について」という内容で発表してきました。
高度肥満患者の呼吸管理では苦労することが多く、呼吸リハビリテーションは欠かせません。当院には10年以上前からICU専属のPTが配属されており、呼吸療法医学会や集中治療医学会でも発表を重ねています。現在も遠山君をはじめ、専属のPTさんが日々患者さんの早期呼吸器離脱と離床に向けて頑張ってくれています。

今後のわれわれの課題は、呼吸不全におけるECMO管理を確立することです。
今後も重症呼吸不全患者の救命に向けて、スタッフでレベルアップできるよう頑張っていきたいと思っています。


会場では大阪名物たこやきを配布していました

2019年8月7日水曜日

新病院に移って

皆さんこんばんは、山本です。
久しぶりに執筆活動に勤しんでおります。
梅雨が明けてカンカン照りに暑い日々かと思いきや、台風がやってきたり、不安定な毎日ですね。
当院にも、重度熱中症を始めとし、多岐に渡る患者さんが搬送されてきております。
最近の救急部あるあるを、報告して参ります。


当院は災害拠点病院でもあり、災害活動にも力を入れております。
院外でも災害訓練の活動は行っておりますが、先日、院内職員を対象に災害時のトリアージ訓練を行いました。

参加者の前で講義を行う、原副部長。


災害という緊急事態では、多傷病者が発生する可能性が十分あります。
当院は災害拠点病院でもあるため、多数の患者が搬送あるいは自力で当院まで駆けつけてくる、という事が予想されます。
今回は、患者の1次トリアージ法として、START法を職員で学ぶという講習会を行いました。
当院では、職種に関わらず大勢の職員がトリアージ法を学べるよう、年に数回、このような勉強会を設けております。
インストラクターの中に医師はもちろん、看護師、MEさん、リハビリスタッフさん、事務職員さんまで居るんですねぇ。
限られた医療資源の中で、多くの命を助ける為には、このような訓練が大切です。


カンニングペーパーを晒しています笑 このような症例設定で訓練しました。

我が救急部では、日本DMAT隊員が7人、統括DMAT資格者は4人おります。
いつ何時に災害が起こっても活動できるように、日常から、災害に対する知識や意識付けを徹底しております。



新病院移転から、早くも3か月ほどが経過しました。
ようやく診療の流れも板につき、スムーズな治療が為されていると自負しております。
ドクターヘリの受け入れも徐々に増えており、ここ3か月間では20件を超えるほどとなりました。
外傷患者の搬送、前医からの転院搬送等、様々な患者を受け入れております。
また、ラピッドレスポンスカー・D-CROSSの運営も順調に行っております。
現場からの覚知要請で救急隊と共に活動したり、指示要請後にドッキングしたり、多岐に渡る症例で、病院前に呼んで頂く機会が増えております。


指導医とOn the job trainingを行う専攻医。後ろ姿が決まっています。


青空の元でスタッフと撮影。1秒1分無駄にせず、駆け付けます。


実は、1枚目の写真の院内トリアージ訓練の業務中にも、D-CROSSの要請を頂きまして、筆者・山本は外に飛び出して参りました。
病院前から診療に携わる事ができ、その症例では早期に疾患の認知が出来、病院に到着後にはスムーズに画像精査を行い、専科の先生に相談させて頂きました。
円滑な医療活動が行えるよう、今後も精進して参りたいですねぇ。



さて最後に、当院ICUでは毎月初期研修医が研修に回ってきてくれています。
ICUでの重症患者管理は、分刻みで病態が変わっていくため、慎重な観察、評価、そして思い切った治療方針の選択も必要です。

研修医が行う処置を、指導医が手取り足取り教えています。

研修医には手技も勉強してもらうわけですが、その適応、その後の管理と、勉強する事はたくさんあります。
専門科に進んだ後にも、この研修での経験が役に立てば、と願って止みません。


さて、とりとめのない事を雑多に書かせて頂きました。
以上、最近の救急部あるある、でした。