2022年11月20日日曜日

JPTEC(外傷病院前救護ガイドライン)コースin高知赤十字病院

 救命診療部の原です。

11月20日(日)に高知赤十字病院でJPTEC(外傷病院前救護ガイドライン)コースが開催されました。このコースは外傷患者さんに対する病院に到着するまでの評価・処置を学ぶコースです。コロナ禍でしばらくコースが中止になっていたのですが、少人数かつ感染対策を十分に行った上で開催されました。

おもには現場に出動する救急救命士さんのための教育コースですが、最近ではドクターヘリやドクターカーなど医師や看護師も病院から現場に出て、救命士さんとともに活動することが増えてきていますので、現場での活動を理解していなければその後の病院内での活動につなげることができません。

今回は救命診療部の鶴野先生と、当院ERの看護師さん5名が受講しました。当院に来て半年が経過した鶴野先生も、ずいぶんER診療に慣れてきましたが、このようなコースを受講することによってさらにレベルアップしてくれると思います。

コロナ禍は第8波の兆しがありますが、早く日常に戻ってもらいたいですね。

参加された受講生のみなさん、インストラクターのみなさん、コース運営に尽力されたみなさん、お疲れさまでした!

懸命に手技を教わる鶴野先生(中央)

頸椎保護もバッチリ!

コロナ禍なので傷病者も人形です…




2022年9月19日月曜日

初期研修医ER症例勉強会

 みなさん、こんばんは。救命診療部の原です。

本日は9月19日、台風14号の真っ只中でICU当直をしています。モロに日本を直撃した大型台風ですが、事前に備えをされていたせいか、思いのほか被害が少ないようにも思いますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

さて久しぶりの投稿です。(医局員一同、さぼってしまってすみません…)

最近、初期研修医の先生方からERで日直や当直をした際の症例について、十分理解できず消化不良のまま次の当直に入ってしまっているという相談を受けました。当院は救急患者の多い三次救命救急センターですので、当直中は忙しくてそういうこともあるかと思います。でもせっかく経験した貴重な救急症例を自分のものにできないのはもったいないですよね。

そこで高知赤十字病院では、昼休みにERで経験した症例をみんなで共有してレベルアップをはかろうという「ER症例勉強会」なるものを週一回開催しています。時間の空いている人が集合して、各自が当直で経験した症例で、疑問に思ったことや、みんなで共有した方がいいと思う症例などを提示してディスカッションしています。指導係は救命救急センターのスタッフで、会の進行や症例にまつわるレクチャーなどを行いますが、研修医の先生とディスカッションすると、私たちもとても勉強になります。

知っていることでも復習になったり、新たな知識を得たりと、研修医の先生方には好評のようです。今後どの科に進んでも、研修医時代に経験した救急症例って生きますよね。この勉強会は自由参加にしていましたが、研修医の先生方が積極的に参加してくれるので嬉しく思っています。

明るく楽しく元気よく! 

頑張ってください!!



各科の研修や手術の合い間に参加しています

みんな表情が真剣です!


2022年6月10日金曜日

第4回ER/ICU ASSISTセミナー

救命診療部の原です。

6月2日に「ER/ICU ASSISTセミナー」がweb開催されました。このセミナーは愛媛大学救急医学講座の佐藤格夫教授を中心に「四国に若手医師を集めよう」という趣旨のもと、当初は愛媛県とその関係者で開催されていました。ASSISTとは、All Skills up Series In Shikoku Type」の略です。

このたび第4回は高知県にもお声がけをいただき、高知大学災害医学講座の西山謹吾教授が座長となられて開催されました。コロナ禍ということで残念ながらweb開催となりましたが、四国だけでなく全国から100名を超える若手の先生方に視聴していただき、大盛況となりました。

今回のテーマは「リチウム中毒」でした。

症例提示を高知赤十字病院初期研修医2年目の山中絵里加先生、Lectureを高知大学災害救急講座の竹内慎哉助教が担当してくれました。

みなさん、リチウム中毒を経験したことはありますか??実は、知れば知るほど面白い中毒なんです!


当日はこのようにホテルの一室でライブ配信をしていました。
山中先生(左)、西山教授(右)、竹内先生(奥)

山中先生は「リチウム中毒は奥が深い!治療介入を要した2症例」と題し、過去の当院でのリチウム中毒症例を提示しながら、リチウム中毒の特性と注意点についてわかりやすく発表してくれました。当日は少し緊張したかもしれませんが、非常に落ち着いて発表できていました。質疑応答でも指導医のサポートがなくても堂々と回答できていましたし、横から見ていてとても頼もしく成長を感じていました。忙しい臨床の合間にスライドチェックのために何回も私のところに足を運んで仕上げてくれました。大変だったと思いますが、この苦労はきっと今後の医師人生に役立つと思います。

リチウム中毒について堂々と発表してくれた山中先生

高知大学の竹内先生は、「夏の中毒といえば?…リチウム中毒!」という演題名で、山中先生が発表した内容をさらに深く掘り下げてくれただけでなく、中毒総論についても非常にわかりやすいスライドで解説してくれ、まさに「ナイスASSIST」でした。竹内先生の発表は、いつもスライドが秀逸でとても見やすく理解しやすい構成に感心させられます。

竹内先生のわかりやすいスライドの一部です

たくさんの質疑応答があり、本セミナーは大盛況の内に無事に終了しました。
視聴してくれた若手の先生方は、リチウム中毒についてかなり理解が深まったのではないでしょうか。

今回のセミナーだけでなく、普段の臨床から高知県内の医療機関は密につながっています。とくに救急部門については、高知大学の西山教授を中心に、高知赤十字病院、高知医療センター、近森病院の3つの救命救急センターだけでなく、その他の二次医療機関とも深く連携し、まさしく「オール高知」で県内の救急医療を支えています。
また愛媛大学の佐藤教授をはじめ、徳島県や香川県の救急医療機関とのかかわりも深く、今後も四国全体で救急医療を盛り上げていければと思っています。
四国4県すべてに特徴があり、それぞれの良さがあります。
全国の医学生のみなさん、初期研修医のみなさん、自然豊かな四国でのびのびと初期研修、救急医療をやりませんか??
ぜひ一度見学に来てください。お待ちしています!

2022年6月9日木曜日

ERに新エコー購入!

救命診療部の原です。

先日、ERに新しいエコーが納入されました。

当院では、これまでERでもICUでもGEヘルスケアの「Vivid」を使用していたのですが、このたび新たに富士フイルムの「SonoSite」の購入に踏み切りました。

「SonoSite」の特徴は、血管エコーと腹部エコーが非常に見やすく、とくに神経ブロックにおける神経や筋肉、血管の描出には素晴らしい能力があります。

当救命診療部でも、日本ペインクリニック学会専門医の村上先生をはじめ、ERやICU、OP室で神経ブロックを駆使して積極的に患者様の疼痛コントロールに介入しています。現在も上肢デグロービング損傷で手術を受けた患者様に、持続的な腕神経叢ブロックを行って術後の良好な除痛を得ています。

私はこの分野に関しては全くの素人なので、このエコーの良さをなかなか理解できませんでしたが、普段は物静かな村上先生のイキイキした嬉しそうな表情を見ると、このエコーを選択してよかったなと思います(^-^;

最近では神経ブロックだけでなく、肺エコーや眼エコーなど全身の臓器をエコーで評価できなければならない時代になってきています。エコーはベッドサイドで短時間で施行でき、患者さんへの侵襲もありません。「エコーを聴診器のように使いこなす!」と言われて久しいですが、救急集中治療医としてこれからの時代を生き抜くキーワードなのかもしれませんね。


研修医の桑原先生(右)に神経ブロックの指導をする村上先生(左)

アツい指導はいつまでもつづきました…

村上先生の熱意に納入業者も喜んでいました(^-^;


2022年4月28日木曜日

ようこそ!米澤先生、鶴野先生!

みなさんこんばんは。救命救急センターの原です。

新年度になり4月もあっという間に終わろうとしています。週末からはGWに突入ですね。みなさんストレスもたまっているでしょうから、ウイズコロナで楽しみたいものですね。

さて本日は、この4月からわれわれ救命救急センタのメンバーに加わってくれた2名のnew faceを紹介します。

1人目は、大阪府出身で琉球大学卒業の米澤竹一先生です。先生の奥様が高知県出身というご縁で、今回当院へ赴任されました。米澤先生はすでに救急科専門医を取得しており、普段のたたずまいや診療風景からもベテランの雰囲気を醸し出しています。激戦区の大阪で救急の第一線を経験してきただけあって、どんな患者が来ても落ち着いて対応し、胸腔ドレーン挿入などの手技も非常に上手で診断やアセスメントも的確です。われわれも貴重な即戦力として期待しています。普段はとても口調や物腰の柔らかい米澤先生ですが、いつ激しい大阪弁が飛び出すのかも楽しみにしています笑

では米澤先生からひとこと。

「大阪府から高知県に移住してきました米澤です。カツオがおいしくて高知県は最高です。カツオの消費だけでなく、高知県の医療にも貢献できるように頑張りたいのでよろしくお願いいたします。」



つづいて香川県出身、香川大学卒業の鶴野倫子先生です。先生は福岡の麻生飯塚病院で総合内科を勉強されてから、今年地元の四国に帰ってくるにあたり、当院で救急科プログラムを開始されました。鶴野先生も非常にまじめな診療姿勢で、症例から一生懸命何かを得ようとする姿には共感を覚えます。早く一人前になってERを任せられるように、われわれもしっかりバックアップしていきたいと思います。なお鶴野先生のメンターは柴田先生です。

では鶴野先生からもひとことお願いします。
「香川県から移住してきた鶴野です。ウナギがおいしくて高知県は最高です。伸びしろばかりがいっぱいで御迷惑をおかけしますが、少しでもお役に立てるように頑張ります。よろしくお願いいたします。」


お二人に共通しているのは、人間的に大人ということです。社会人として当然ではありますが、好き嫌いで人や物事を判断することはなく、どんなに仕事がしんどくても愚痴を言うことはありません。去年から加入している桐田先生や樋口先生、前回紹介した橋爪先生や山下先生もそうです。
このように最近はいろんな人生経験をした先生が加入してくれているので、組織としてさらに成熟していけるのではと期待しています。

これからも楽しく、そして激しく仕事をしていきましょう!
そしてコロナが落ち着いて早くみんなで飲みに行ける日を楽しみにしています。





2022年3月31日木曜日

専門医試験合格!!おめでとう!!

みなさんこんばんは。救命診療部の原です。

本日は3月31日、いよいよ明日から新年度に入ります。新しい職場で働き始める人は、大きな期待と少しの不安で今年度最後の夜を過ごしているのではないでしょうか。

新型コロナウイルスは2年が経過してもまだくすぶりつづけ、ウクライナ情勢は一段と厳しい状況となっています。令和4年度こそは、全世界の人類にとって明るい社会となってほしいですね。


さて今年度は、当救命救急センターから4名のスタッフが専門医試験に合格したので報告します!

日々の忙しい臨床をこなしながらも、みんなが少ない時間を見つけて一生懸命勉強していたのを見ていたので、合格を聞いたときは自分のことのように嬉しかったのを思い出します。

・橋爪貴史、山下高明・・・日本救急医学会救急科専門医

・柴田やよい・・・日本集中治療医学会集中治療専門医

・村上 翼・・・日本ペインクリニック学会専門医、日本区域麻酔学会認定医


まず2018年から当院の救急科プログラムに参加し修了した橋爪先生と山下先生。

橋爪先生は大阪府出身、山梨大学卒業で、四国の高知県には縁もゆかりもない中で当院へ病院見学に来てくれ、救急・集中治療・麻酔のすべてを網羅できる当科のシステムの良さを見抜いて飛び込んできてくれました。彼の頭の回転の速さと勉強量、フットワークの軽さはピカイチで、コメディカルからの信頼も厚いです。もちろんアフターファイブの充実ぶりも十分で、コロナ禍でも身をわきまえて人生を謳歌している姿はまさに若さのなせる業で、うらやましい限りです。もちろん試験も余裕の合格だったことが、写真の笑顔からもうかがえます。



山下先生は東京都出身、高知大学卒業ですが、これまで少し回り道をしながらも着実に人生経験を積み、医師として再スタートするにあたって当科を選んで入ってきてくれました。彼の人格には特筆すべきものがあり、患者さんへの真摯な対応や丁寧な診察はもちろん、コメディカルとのコミュニケーションも申し分なく、周囲からの評価はバツグンです。すでに結婚していて子供も3人いる中で、仕事と家庭を両立している姿は、私も見習うところがたくさんあります。学会発表や論文執筆も最後までやり切り、見事に合格を勝ち取りました。




次に柴田先生。彼女はすでに救急科専門医と麻酔科専門医を取得済みで、とっくに集中治療専門医も取得していてもおかしくない実力者なのですが、結婚・出産の時期と重なり、ようやく今年度、無事に合格してくれました。彼女は2人の子供の母親でもあり、忙しい家庭と両立する中で空いたわずかな時間を見つけてテキストを開いて勉強していた姿が印象的でした。現在もER、ICU、麻酔のすべてをこなしてくれているだけでなく、ときにはドクターカーに乗って現場に出動したり、一般病棟の人工呼吸器離脱困難症例を最後までしっかり見てくれたりと、当科の中ではなくてはならない存在です。



最後に村上先生。初期研修医1年目の25歳から当院で働いていて、若手のホープと言われていた彼も今年でなんと40歳!!ときの過ぎるのはなんと早いことか…(そりゃ私も年を取るはずだ…)

そんな村上先生はすでに救急科専門医、集中治療専門医、麻酔科専門医、さらには総合内科専門医まで取得済みで、今年度はこっそり?ペインクリニック専門医+区域麻酔学会認定医なる資格を受験し、見事合格していました。しかし何をかくそう、ペインクリニックこそ村上先生のライフワークであり、エコーのプローべと穿刺針を肌身離さず持ち歩いているというウワサが立っているほどです。(というのは冗談ですが、写真の右手に持っているのはプローべでは??)



以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

長々と書いてきましたが、村上先生のように重症患者さんの全身管理ができるという総合力を備えながらも、さらにもう一歩自分の特徴を生かせるような医師になれることが、当救命救急センターの最大の特徴かと思います。

もちろん働き方改革の以前からできるだけ各自の勤務希望を優先し、みんなで協力して業務をカバーし合い、家庭の行事や学会にも積極的に参加してもらっています。お子さんのいる先生も含めて女性医師が6名在籍しているのも当科の特徴かもしれません。

学生のみなさん、初期研修医のみなさん、経験豊富な先生方、ぜひともに働いてみませんか。ご連絡をお待ちしています。



2021年12月28日火曜日

日本救急医学会指導医施設認定!!

 みなさんこんにちは。救命診療部の原です。

いよいよ年の瀬となり、コロナに振り回された2021年が終わろうとしています。通常診療最終日の本日も、当院は急患や緊急手術に明け暮れています。2022年こそは落ち着いた日常が取り戻せることを祈るばかりです。

さて本日は嬉しい報告があります。このたび2022年1月1日より、高知赤十字病院救命救急センターが日本救急医学会指導医施設に認定されました!

この救急医学会指導医施設を申請するには、指導医が2名常駐していることが必須なのですが、この指導医資格の取得が非常に難易度が高くハードルとなっていました。3年前に私が指導医を取得し、昨年に山下センター長が指導医を取得して、今回ようやく念願の指導医施設に認定されました。指導医を取得するには、指導医施設に7年勤務することが最低条件であり、一定の臨床経験だけでなく論文執筆も必要となっています。

指導医施設は東京や大阪などの都市部には多くありますが、地方では各県に1つあるかないかの貴重なもので、四国では香川大学、愛媛大学に次いで3病院めの認定となります。もちろん名前に準じた高度な診療レベルとスタッフが要求されますので、今後もレベルアップに努めていきたいと思います。そして今後もスタッフが救急指導医を取得できるよう、日々の臨床だけでなく学会発表や論文の指導なども充実させていきたいと考えています。

また当救命救急センターでは、他にも集中治療専門医、麻酔科専門医、外傷専門医、呼吸療法専門医、腹部救急認定医などの認定施設となっており、各自の希望に応じた勤務体系を組むことができます。子育てをしながら働いている女医さんがたくさん在籍しているのも当センターの特徴です。

救急医学会指導医資格を目指している方は、当院でともに働いてみませんか??興味のある方はぜひご連絡ください。お待ちしています。